沖縄⑥20.2.24

2/24(月祝)六日目
6時起床。大きなベッドで贅沢に寝たなあ。今日の朝食は、オキコパンというメーカーのうずまきパン。ふわふわのパンが、甘いクリームをぐるりとうずまきに巻くかたちになっている。クリームがじゃりじゃりと砂糖?の美味しい歯ざわりがして、なつかしい感じのするパン。一個519kcalあるボリュームパンだ。
宿のすぐ裏手が山なので、朝方は起きたばかりの鳥たちのにぎやかな声がする。キョーエキョーエとよくわからない声もする。
明日の昼3時の飛行機で名古屋に発つため、車は明日朝に返却予定であり、車に乗ってぶらぶらとするのは実質今日が最終日といったところだ。借りた車は軽自動車のスペーシア(白)。山道もぐんぐん走ってよい車でした。
8時、宿を出発。海岸沿いの道を南下し、万座毛へ。駐車場に向かうと、第1駐車場は工事中で第2駐車場へ案内される。そこから歩いて海、絶壁へ。見おろすと青色と水色の波が打ち寄せている。

葉っぱの丸い頑丈そうな木や、ヤシの木のような尖った葉っぱの木や。ぐるりとまわり、駐車場にもどる。第1駐車場のかべに貼られた案内を見ると、道の駅的な大きな施設を作っているところらしく、その外観や内観はいろんな場所でよく見る「でかい道の駅」で、あんまり気分が乗らない。第2駐車場にもどると、仮設のこじんまりとした建物のなかで、方言バリバリのおばさまがたが、南国調のワンピースやらキーホルダーやらかりゆしやらを販売している。ジンベイザメのキーホルダーを買いがてらに聞いてみると、もともと第1駐車場にあった売店で営業をしていたが、新しい施設に建て替えることになり、いまは臨時で第2駐車場にて営業しているとのこと。新しい施設が出来上がったらそちらに入るのだとか。あのつるりとした完成予想図のなかにこのお店達がどのように入ることが出来るのか、あまり予想ができない。
車に乗り込み南下、珈琲豆屋さんに立ち寄ってみるも営業はしておらず、ちかくのオレンジ色した犬二頭に元気に吠えられる。国道へ戻り、西海岸から東海岸へと横断、金武という町に着く。


金武は、目の前がすぐキャンプハンセンになっており、新開地と呼ばれる繁華街にはクラブやタコス屋などが並んでいるのだけど、朝の10時前ということもあり開いている店はほとんどない。あたりをぶらぶらしてみると、建物は潮風にさらされたざらつき、ペンキははがれ、今も営業しているのかわからない店や、これは営業していないだろうという風体の店や、いろいろだ。夜に来たらまた違う顔の町なのかもしれない。タコス屋さんとインド料理屋さんが一軒ずつ仕込みをしているのか、いいにおいが漂う。キャンプハンセンに面した道路沿いの店には「米兵専用店舗 米兵以外のお客様の入店はご遠慮願います」とかかれたものもあった。


車に戻り少し先へ行き、観音寺というお寺へ。ここは16世紀に鹿児島からやってきたお坊さんがひらいたお寺で、いまある姿は昭和17年に再建されたものらしい。瓦は沖縄でよくみる橙色で、柱も薄い色をしている。沖縄の社寺の多くは沖縄地上戦で焼かれてしまったのだけど、この観音寺は戦火をまぬがれたお寺なのだそう。線香をたてて手を合わせる。おみくじをあまりひくのが得意じゃないけど、たまにはひいてみようとひいてみると、日本語の裏側には英語の訳が書いてあった。「波のおと 嵐のおとも しずまりて 日かげ のどけき 大海の原」とあり、なんだかよさそうな内容でよかった。
あたりを少し散策。さきほどの新開地のあたりからずっと単音の「エリーザのために」が町じゅうにエンドレスで流れていて、どういうことなんだろうと思う。
今日の昼は予約しているお店があり、12時と決まっているのだけど、少し早く着いてしまいそうだったので、ちかくのネイチャーみらい館というところに寄ってみる。家族づれむけのキャンプができたりする施設のようで、そこに車を停め、あたりを歩いてみる。海と川のまざった場所にマングローブがひろがり、その遊歩道から下を見ると干潟が見える。そこには小さなカニがたくさんいて、カニの穴もたくさんあいていて、耳をすますと、ふつふつとした空気のはじける音が聞こえる。カニはハサミで泥をつまんで食事をしており、ムツゴロウみたいな見た目の生き物がヒレで前進している。おだやかな世界だなあと思う。


いい時間になったので、そこから10分かからず『がらまんじゃく』へ。ここは、星さん家から「沖縄に行くなら是非行くがよかろう」とオススメされていた野草料理のお店で、駐車場から階段をのぼると小さな森のようになっており、ここで野草を育てているのだとか。建物は沖縄の古民家そのままといった感じで、とても雰囲気がよい。奮発をして、品数の多いコースを注文する。コースの内容は、肉や魚を使わない野菜料理なのだけど、なんか、それぞれの野菜のここが特徴、みたいなのをぐいぐい引き上げていたり、なにかのスパイスと合わせることでびっくり旨味が破裂していたり、すごい料理だった。薄切りにされたゴーヤの苦味のなんと美味しいこと。味噌汁は食べたことない味をしてて、あれはなんなんだろ…そもそも味噌だったんだろうか。未知な美味しい味をたくさん食べられて、とても満足でした。


店を出て1時半。いま、本島の真ん中あたりにいるわけだけど、ここから高速道路に乗って一気に南下することにする。1時間ほどで、平和祈念公園に到着。平和資料祈念館を見たのち、車で5分ほどのひめゆりの塔へ。慰霊碑に献花し、資料館に入る。この資料館に来るのは3度目だ。
展示の後半に、沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒隊やその引率の先生がたの、それぞれの写真(写真が無い方もいる)と、名前、出身、亡くなった状況と、その方がどのような人柄であったのかを記したものが、ずらりと掲げられている部屋があり、それをひとりひとり読んでゆく。写真は笑顔だったり、真剣だったり、薄くて表情が読み取りにくかったりもするのだけど、彼女たちが中高生として暮らしている様子が浮かび見えるような感覚になる。ひめゆり学徒隊の動員数は240人、そのうち136人の方が沖縄戦で亡くなった。
平和祈念公園へ戻り、公園内を歩き、6時に近づいたため車に乗り込み、今晩のお宿へ。ひめゆりの塔からほど近い集落の民宿である。
庭には大きな犬が二頭、元気に吠えている。明るいおかみさんに二階の部屋へと案内していただき、荷を下ろして海の方へ散策に行く。浜に降りて、左に向かうと『ジョン万次郎 上陸の地』、右に向かうと向こうに荒崎岬が見える。多くのひめゆり学徒隊の方々が亡くなった場所だ。


民宿へ戻り、7時に夕食。ふーチャンプル、刺身、豚の軟骨の煮物、白和え、ミミガーの和え物、島らっきょう、ジーマミー豆腐、もずくスープ。沖縄定食だ。食堂には自分一人で、おかみさんがなんやかんやと話しかけてくれるのであった。二頭の犬は庭で丸まって眠たそうにしている。
部屋に戻る。ベランダからは海が見えて、虫の声が聴こえる。