沖縄③20.2.21

2/21(金) 6時起床。身支度をし、外に出てみる。空はすこしずつ明け始めていて、フクギ並木を歩くには充分。鳥や虫の声がする。並木に囲まれるように並んでいる家々は、よくみかける沖縄の家の形をしていて、門にはシーサー、一階建てがおおく、並ぶ植木には赤い花が咲いていてパッと明るい。海に出ると、向こうには伊江島が見え、灯台か何かの灯りが点滅をしている。空も海も水色から薄紫の、線がにじんで一体になっている。だいぶん明るくなってきたので宿に戻る。上がる朝日の橙色に、土と木の幹と家の屋根の橙色がいっそう浮かび上がっている。
宿に着いて朝食にする。昨日買ったカニステルと、スーパーで買った『ぐしけん』というパンメーカーのチーズスナックというパン。沖縄のスーパーには他にも『第一パン』『オキコ』といったメーカーのパンが並んでおり、大きくてフワフワした系統のパンが多い。


8時過ぎに宿を出る。今夜もこの宿に泊まるのでとても気楽だ。南下し、美ら海水族館へ。今回来る予定ではなかったのだけど、昨日の植物楽園で見たカメにいたく心をうばわれたのと、自分の好きなイカやタコの同居人たちを観に行くのもよいではないか、との思いで来館することにしたのだ。ちなみにイカやタコは飼育されていない。イカの飼育はとんでもなく面倒なものなのだ。
8時半に開館。水族館にはすでに多くの人がやってきていた。入ってすぐに、ナマコやヒトデにじかに触れるコーナーがあり、触ってみる。彼らは、触られた力をそのまま受け流す。
先に進むと、色とりどりの小魚たちが泳ぐ大きな水槽。犬や猫は一日のほとんどを寝ているけど、魚たちは起きていて、すごいなーと思う。じっと水底に動かない魚も、目をくりくりとしている。皮膚はなめらかで、その下にしなやかに動く筋肉が見える。我々地上生物は、海からあがることを選んだわけだけど、この水槽の中にいる生物は、水の中でいっしょう暮らす。


水族館はとても広く、深海のいきものや、毒をもついきものや(すごいこわい。無用心に海辺を歩くのはほんとにやめようと思う)、サメや、マンタや、ジンベイザメや。小魚の中には、人を小馬鹿にしたようなふざけた顔面のものもいるけど、肉食のサメは体全体がすっとして、目もキリリとしていて、かっこよい。マンタは裏から見ると笑った顔をしている。餌やりのコーナーでは、大きな口をぱかりとあけて宙返りをして、小さなものをたくさん取り込むのだった。
水族館をでて、マナティ館とウミガメ館へ。ウミガメは、昨日見たリクガメとは違って甲羅と身体がなだらかにつながっていて、手足はヒレになっている。重たい甲羅を背負ってゆっくりと歩くリクガメとはちがい、悠々と水の中を泳いでいる。リクガメにくらべてその目は大きな魚のよう。
10時を過ぎたので、イルカコーナーへ向かう。10時半からイルカショーが始まるのだ。その前に、イルカたちの泳ぐ姿を水槽越しにながめる。イルカは眠たそうな目をしている。
にぎやかな音楽とともに、イルカショーがスタート。色々な種類のイルカたちが、八頭ほどでショーをみせてくれる。そのなかでも古株のオキちゃんというイルカはなんと芸歴45年とのこと。そのアナウンスに会場が大きくどよめく。
ショーのはじまりは、イルカたちが『種類によって歯やヒレなどの形状が違うんですよ』ということを示すため、アナウンスにあわせて口の中やヒレを見せてくれる。見せてくれるのである。会場は大盛り上がり。そのあと、『鳴き声もあげるし歌もうたうんですよ』というデモンストレーションに、沖縄の三線のメロディが流れ始める。これを伴奏に、キューキューと可愛らしい声を聴かせてくれるのだろうかと思っていたら、ものすごい大きなギャアギャアという声で、会場は大爆笑。そのあとは、優雅な泳ぎやジャンプや輪っかの運搬などで、たいへん素晴らしいショーでした。
水族館をあとにして、東の島へ向かう。東には屋我地島と古宇利島というのがあり、橋で渡ることができるのだ。まずは屋我地島を目指す。
道中、八重岳ベーカリーというパン屋さんに立ち寄る。昨日産直市場で試食したクッキーがとてもおいしかったので、実店舗でほかのものも買ってみようと思ったのだ。山の上のお店で、生姜パンとりんごパンを購入。さっそく生姜パンをかじりながら屋我地島へ。橋に近づくにつれて、とても水色をした海が見える。沖縄の海はどうしてこう水色なのだろう。


橋を渡って屋我地島につき、まずは昼食。kiiroという古民家のカフェに入り御膳をいただく。ゴーヤとパイナップルの酢の物や、サトウキビご飯が美味しかった。周囲をぶらりと散歩すると山羊のにおいがする。一昨日食べた山羊汁のために、山羊のにおいにとても敏感になっている。
車に乗り込み島をぐるりとまわる。サトウキビが収穫の時期らしく、サトウキビ畑のなかをとおると濃く甘いラム酒の香りがした。


また橋を渡り古宇利島へ。屋我地島よりも古宇利島のほうが小さいながらにぎやかで、人がたくさんいた。二月でこれだから、夏はたいへんなことだろう。市場で果物とサトウキビを購入、かじる。
車にもどり、もと来た道を引き返す。本部というまちの商店街をぶらぶらして、ぜんざいを食べ、美ら海水族館へ再度立ち寄り、海洋文化館という施設にはいる。ここでは、航海についてや海周辺の文化についてや、色々と見ることができるのだけど、いかんせん入館したのが閉館の40分前だったため駆け足。沖縄のタコ漁には、こぶしほどの貝をおとりに使うものがあるのだけど、それにはとある言い伝えのようなものがあり、「むかし、海でおぼれていたネズミをタコが助けて岸まではこんでやった。しかしネズミは、タコの顔にフンをしてからかった。タコは怒り、以来、ネズミに似たものにとびかかるようになった。そのためタコ漁にはネズミに似た貝をおとりに使っている。」というものであった。ひどいや。
ガソリンが半分まで減っていたので、ガソリンスタンドへ。明日からは沖縄の北部へ行くのだけど、北部はほんとにいろいろなお店が無いとのことで、いろいろと補充することを心がける。半分入れて1700円程度だった。
日も暮れてきたので宿へもどり、歩いて海へ。向こうの空に日が落ちていくのが見える。薄黄色の海面に次々と浮かび上がる小さな菱形は、浜辺に近づくにつれて桃色から水色、濃い青色へと変化をし、砂浜にくだけていく。海岸にはサンゴの小さく欠けたものがたくさん打ち上げられている。
夕食は近くの『海路』という、カレーとタコライスが名物のお店で、タコライスカレーという優柔不断人間にぴったりのメニューがあったためそれにする。美味しい。
明日はやんばるへ。