vietnam③19.2.15

三日目、5:30 起床。蚊が倒しても倒してもやってきて、途中から、もういいや…と全面降伏した夜でした。
6:00 二階のテラスにて朝食。洋食かフォーかを選べたので、フォーをいただく。チキンフォー、フランスパン、すいか。面した通りはもうにぎやかに人が行き交っている。
8:00 荷物はホテルに預かってもらい、外へ出る。昨日の夜は暗くて立ち入るのは怖く感じた裏通りに入って行ってみる。大通りの印象とはうってかわって、田舎ののんびりとした家がならぶ。玄関は開け放たれていて、生活と外の段差のなさ。大きなヤシの木や鮮やかな花が陽に照らされている。それにしてもベトナムの人はそこらじゅうにほいほいとものを捨てるので、道路のすみや水の溜まり場にはペットボトルやらビニールやらがあつまり、えらいにおいを発している。そのすぐ上でハンモックに揺られて眠っているベトナムのひと。いやあ。
そして、裏道にはニワトリや犬がめちゃんこいっぱいいる。犬は短足のやら毛の長いのやら色々な種類で、ちょっと後ろについてくるようなフレンドリーなやつもいれば、目が合えばわんわん吠えて飼い主に叱られるやつもいる。ひらけたところには、米の蒸したやつを欲しているのをがつがつとつついているニワトリもいて、なんというか、とにかくのんきである。


少し大通りにでて、歩いて行くと市場に出る。朝から人出がすごくてにぎやかな声がひびいている。ベトナムはとにかくおばさんのパワーがすごい。
大通りで、帽子の形をした焼き物で焼いたクレープ生地の丸い甘いのを食べる。まわりがカリカリとして中心部はフワフワしていて美味しい。それにしてもバイクの排気ガスがすごくて、マスクをホテルに置いてきてしまったことを後悔する。大通りはさけて、裏通りへ、一本入るだけでとたんに静かになる。南国の鳥らしいキュキュキュ…みたいな鳴き声や、ニワトリのコケコッコーや。おだやかに風が通って行く。日本と違って蝉の鳴き声がしない。ベトナムには蝉はいないんだろうか。


9:30 コープマートがあったので入り、スーパーの生鮮食品などをながしみ(日本のジャスコみたいな店構えなのだけど、すぐ近くに市場があるからか、めちゃんこ空いていて店員さんも暇そうだった。やっていけてるのか?)、そこからまた少し歩いて、そういえばまだベトナムコーヒーを飲んでいないやと思い立ち、広めのカフェに入る。濃く落とされたコーヒーと、それを受け止めるなみなみの練乳。かき混ぜて飲めばキューっと眉間にくる甘さでこれがベトナムかあ!と感じ入ったのだけど、全部かき混ぜるとベトナムの人も甘すぎるので自分の好みにかき混ぜるんだよ、と、のちに日本にいるあいこさんから教えてもらう。なんだい!
ひとやすみして、それからまた出発。このあたりに来たら食べたいなと思っていたのが、ブンマムという麺料理で、これは魚の発酵した調味料をつかって味付けされたものなんだけど、そのブンマムを探して街をさまよう。すると、一軒のお店でその表記を見つけて、さっそく注文する。スープには市場でみかけた黄色い花がいくつものっていて、はなやかであった。少し甘めのスープと米の麺。
それから市場へまた向かう。バイクのぶんぶん行き交う大通りを渡ろうとすると、杖をついたおばあさんが手を差し出して何かを話しかけてきて、なんだろうと思うもその手に握られていたのがお札で、反射的に物売りの人かなと思って(町なかで宝クジやら色々なものを売る人がいるのだ)「結構です」と通りを向こうへ渡ったのだけど、しばらくしてアッと思っておばあさんの方を見ると、ゆっくりと通りを渡っているのが見えた。商売で声をかけたのではない、「大通りを渡りたいが歩きに少し不安があるから手を取ってくれないか」ということだったのではないか、と思い至り、とてもつらい気持ちになる。おばあさんは無事に通りを渡りきったようであった。
ホテルに戻り、荷物を受け取ってまた歩き出す。小学校の前でチリンチリンアイスを買って食べているとバイタクのおじさんが来たので、サム山に向かってもらう。


13:00 サム山のふもとに到着。ホテルのチェックインが14時からなので、もう少し待つことにして、近くでコムタム。肉の焼いたのと、イエローチキンカレーと、卵焼きと、インゲン炒めとなますをご飯に持ってもらう。
お腹もふくれ、通りに出るとバイタクのおじさんの団体に声をかけられたので、ホテルまでお願いすると、想像したのの倍ほどの値段を提示される。まあ山の上だしそのくらいするか、と、おじいさんのバイタクに乗せてもらい出発。このおじいさん、今まで乗った中でいちばんのスピードで、ヘルメットが風に流されそうになりながら、いったい何キロ出してるんだ?とスピードメーターを覗き込んでみたら、針は0kmをさしていた。
こりゃやばいな〜と思いながら荷台にしっかりつかまっていると、なんか奇妙なことに気づく。山の中腹を目指しているはずが、なぜか山をおりてカンボジア方面に向かっているのだ。すごいスピードのなかグーグルマップで見てみても、やはりまったく違う方向に進んでいる。待っておくれ、とおじいさんに声をかけて、いったんとまってもらい、違うんだ目指しているのはサム山の中腹なんだ、と指差し訴えると、おじいさんは「え、マジかよ、参ったねワッハッハ」といった風に苦笑いしてUターン。ふたたびサム山へ爆走。その後も中腹といっているのに頂上まで連れて行ってくれたりしながら、なんとか目的地に到着。それにしても最初はいったいどこへ向かっていたんだろう、このおじいさんは。
14:30 ホテルにチェックイン。このホテルは自分のひとり旅行史上いちばん贅沢したホテルで、それも深夜2時のテンションで勢い予約したホテルで、予約した翌朝再確認して「わわ、ホーチミンからバスで六時間の街て!そして高いしキャンセル難しそうだし!行くしかないのか!」と頭をかかえたホテルなのだけど(昨日とまったホテルの三倍の宿泊代である)、来てみてよかった、テラスからはカンボジアにつづく青々とした水田が見えて、部屋も広く、大きなベッドには蚊帳がはられ、窓からは心地よい風が吹き込み、排気ガスからは遠く。チェックイン後は部屋でひたすらぼんやり昼寝などして過ごした。だいたい旅行に出ると町をひたすらぶらつくことが多く、ホテルでのんびりすることがほとんど無いのだけど、こうして何もせず過ごすのも良いもんだなーと思った。


18:30 レストランで夕食にする。ジントニックと、空芯菜の炒め物と、バインセオを注文。ゆっくりと夕暮れていく田園と並んだ家と車のぽつんとした光が美しく見える。
そしてテーブルに運ばれた料理は想像以上に大きくて、空芯菜の炒め物などは日本の中華屋さんで頼むのの三倍くらいの量はあろうかというボリュームで、大きさに思わず笑ってしまった。めちゃんこ時間をかけて完食、自分の胃の活動に祈る。
20:00 部屋に戻る。空には大きく月が光っていて星が霞みがちだったけれど、オリオン座が真上に並んでいた。部屋の壁にはやもりがくっついていて、可愛いもんであった。
明日はチャウドックを離れてロンスエンへ行く。